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2021年12月21日   東條英機が愛したピアノ

ただいま、「絶賛、しめ縄プロジェクトの真っ最中!」とのことで、個人的な活動が制限されている状況ではございますが、先日、18日の土曜日、友人が「東條英機が愛したピアノ」と題したピアノ・リサイタルを開いてくださいました。
 
元々、このピアノは、東條英機の唯一無二の親友とされた、隣人、鈴木医師にピアノと書棚を託したことに始まります。
 
ご本人もこのままではGHQに接収されることも予見してか、結果として、後生、鈴木家にて大事に管理され、その所有はご令孫にも及びました。
 
そして、時は流れ、そのご令孫もご高齢を迎え、これ以上、所持し続ける状況にないとご判断された結果、ついに靖国神社の遊就館にご相談されることになりました。
 
しかし、このピアノと書棚は非常に大きく、さすがに遊就館でも取り扱いが難しいため、親族を代表して、その取り扱いに関する一報が入ったのが、令和元年、10月のことでした。
 
ただし、恥ずかしながら、今の私にもさすがにこの大きな遺品は私が受け入れるにも分不相応にて自身の手に余るものでございました。
 
そこで、私もさて、どうしたものかと思い悩んだ末に私がご相談したのが、今の「しめ縄プロジェクト」なども応援してくださる、盟友、杦田社長でした。
 
杦田社長に相談すると、即答で受け入れを表明してくださり、このピアノと書棚は廃棄されることなく、杦田家が継承してくださることになりました。
 
多分、ここで杦田社長が引き受けて下さらなかったら、このピアノは確実に廃棄されていたと思います。
 
そして、今回はその杦田社長がプライベートで若手の音楽家をご支援されていることから、このピアノの活用を思いついてくださり、今般のリサイタルの運びとなりました。
 
 
通常、クラッシックの演奏では演奏されない曲目の数々は、当時、曾祖父が聞いた、もしくは奏でたであろう、日本人作曲家の作品の数々。
 
そのどれもが淡い音律を奏で、どこかノスタルジックな雰囲気が会場を包み込みました。
 
中でも、冒頭に演奏された「君が代」は、感慨深く、一瞬で涙腺が緩みそうになりましたが、まぁ、何とか耐え切りました(笑)。
 
なぜなら、「君が代」は少なくとも曾祖父にとっても大切な曲であったと思いますし、そのメロディーを聞いているだけで、なんとなく、今はなき用賀の本邸で子供達とピアノを楽しむ光景がどことなく想起されたからです。
 
最後のアンコールでは、杦田社長のリクエストで、中島みゆきさんの「時代」が演奏されました。
 
その演者さんともお食事をご一緒させていただきましたが、感想を聞くと、やはり、現代の電子ピアノにはない、豊潤な音の深さにビックリしたとおっしゃっておりました。
 
私は音楽に関しては、そこまでの博識を持ち合わせておりませんが、そのおっしゃる意味は何となく分かりました。
 
 
このピアノは、シュベスターと呼ばれる国産の手作りピアノで、鍵盤も象牙で作られております。
 
まさに今、作ることの出来ない唯一無二のものになります。
 
それが70余年の時を経て、ホールで音を奏でるというのは、まさに感無量のことでした。
 
いろいろ不思議なご縁というのは巡り巡ってくるものです。
 
私自身は特段何も変わらぬ凡庸な人間ではございますが、今ある多くのご縁は紛れもなく、ご先祖さまによるものです。
 
世の中は大きく変化しておりますが、今もこうして奏でるピアノの旋律だけは当時と変わらない。
 
何か特別な感情を覚える大変意義深い1日でした。
 
ということで、今年も後残りわずか。
 
今年の「しめ縄プロジェクト」もあと少しで完走ですので、皆さまとともに楽しく年末を迎えられますよう、引き続き、頑張って参りたいと思います。
 
 
東條英利 拝

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